二股をかけた理由

わたしは心の中で、彼氏と友達の彼とを比べてばかりいます。

ふたりとも見た感じは、どこにでもいる

いてもいなくても気づかないような、

目立たないタイプの男性だと思います。

女の子からモテるかと聞かれたら、どっちもありえないでしょうね。



当然かもですが、いつもエッチばかりしたがる彼氏は、

たんなる遊び友達としても物足りません。

最近では、それまで

一度も恋愛感情を持って接したことのない友達の彼のことを、

友達の彼という親近感以上に、いつのまにか意識してしまっています。

夢の中で友達の彼の何かが、わたしのどこかに触れている感覚、

朝起きて抱き枕に友達の彼の匂いが付いていれば、と想像したり・・・

目ざめとまどろみの狭間で、

その時だけは少しも大袈裟な表現じゃなくて、友達の彼が欲しいって。

私は今の彼氏が本当の彼氏であって、

友達の彼はわかりきったことですけど、

絶対にしてはいけない当たり前の事を、

恐るおそる頭の中で並べてみました。

そうしたら、はじめて

本当に進むべき道を見つけたんじゃないかって、自分で気づいたんです。

友達の彼は店のバイトではないということを三回目に

ひとりで店に行ったとき彼から教えてもらったんです。

彼は大学に通っているけど、親が出してくれたお金を元手に

スローな感じの手作り風カフェを始めたようです。

店はいつも女性客をメインに賑わっています。

バイトは雇わずに、全部ひとりで切り盛りしているという話でした。

大学の勉強が嫌いというわけではないけど、

いろいろな人と話す方がもっと自分にとっては勉強になると言ってました。

よく来ていた友達とはカウンターで話をしているうちに

自然と仲良くなったそうです……。

その日の午前中は何事もなくすぎました。

友達の彼はわたしの部屋に来ると、すぐ布団にもぐり込み、

ふだんと変わったところはなかったので、

『まだ友達とは続いているし、別れる気もないんだろうな』と

わたしは直感でわかったので、少しだけ安心しました。

いきなり友達と別れて、わたしを本命にすると言われても重いだけですから。

残業が長引いた彼氏は夜中に帰ってきたのですが、

わたしは彼氏には何も打ち明けるつもりはありませんでした。

次の日の日曜日は豪雨だったので、外に出る気もなく一日中家にいました。

彼氏は友達の彼がここに来たことに、まったく気づいてないようでした。

朝からわたしはモヤモヤして、激しい雨がベランダをきれいに

洗い流してくれているのを部屋の中から

ガラス越しに、ぼんやりと眺めていました。

わたしはもう我慢できなかった。彼氏の仕事に影響がないように、

秘密のまま進めている一時的な浮気と思っていた心が、

いつのまにか、彼氏に全部打ちあけて御破算にしようとしてました。

暴挙にも似た強引なやり方で事を片付けてしまう

わがまま勝手な計画も顔を覗かせていました。

でも結局、わたしはふたりと関係を続けるという選択肢を取りました。

このほうが金銭的な面では、よいことずくめなのです。

まず、いまの彼氏をキープした場合は家賃がいりません。

ここはサラリーマンの彼氏が契約しているマンションだからです。

食費や光熱費もすべて彼氏持ちです。

わたしは学生なのですが

もともとバイトをしなくても

親から潤沢な仕送りがあるので充分暮らせるのです。

金銭に関して堅実な教育を受けた賜物なのでしょうが、

とくに派手に遊びまわるという趣向もないため無駄な出費がありません。

友達の彼は大学生にも関わらず、お金には余裕がありました。

自分の店が儲かってるというほどでないにしろ

普通の学生バイトよりはずっと金回りはいいようです。

このようにして、わたしの貯蓄額はうなぎのぼりとなるのでした。

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