ハローワークに応募したらいいか相談するな

ハローワークの検索機で求人を探していると、年がら年中見かける募集がある。

わりと条件もよいのだが、なぜ採用が決まらないのか不思議なくらいよく見かける。

条件がいいから、採用も厳しくなるのかなって思っていたが、

どうもそういうもんでもないみたいです。

「ですからね、わたしは、電気が専門だって言ったわけですよ。ええ」

だいぶ前から相談員と話しているであろう年配の利用者が、

大声でなにやら窮状を訴えている。

「いやいや、そんなふうに、白を切るような言い方をしないでくれますか、

まったく無責任な人だな――」

ところどころだが、年配の男性は相談員を責めているようだ。

相談員の声は、検索機のあるここからは聞こえない。

ほかの利用者の声も個別に内容がわかるほどの音量ではないのがふつうだ。

おれは立ちあがって彼らがいるほうを見ていたが、遠くからだと様子がよくわからない。

相談員の男性は50代後半といった年齢だろうか。

あきらかに利用者の男性よりも年下といった感じだ。

両手の手のひらを利用者に向けてヒラヒラさせている。

「まあまあまあ、落ち着いて」とも見えるし。

「いやいやいや、そんな無茶苦茶な」とも取れる仕草である。

顔の表情は笑顔を作ろうとしているが、ひきつって辟易としていた。

周りにいる職員たちも遠巻きに注目している。

「わたしだってねえ、好き好んでこんな所に来ているわけじゃないんだから」

なおも爺さんは捲したてる。

話をつなげていくと、この相談員に紹介状を出してもらった会社へ入社したのだが、

求人票の表記と実際の業務内容や賃金や条件が違うのでなんとかしろと言ってるようだ。

「あんたが問題ないと言ったから、わたしはこの会社に入ったんだよ」

爺さんは、おかしな会社の求人をいまだに掲載しているハローワークの運営にも

問題があるんじゃないか? と口角泡を飛ばして詰め寄っていた。

『床屋に髪を切るべきか相談するな』というが、

ハローワークで、気になる会社についての評判とか訊いても、なにも得るものはない。

というより、求職中であれば、はやく仕事に就かないとこの先厳しい状況になる・・・

というような妙に不安を煽ってくるセリフを吐かれるのがオチなのだ。

そのあたりはもう、ブラック会社と業務提携してるといっても過言ではない。

床屋は髪を切るのが仕事なのだから、髪を切ったらいいかどうか聞いたら

それは「切ったほうがいい」と言うに決まっている。

この理屈からすれば、ハローワークは仕事を紹介するのが仕事なのだから、

「この会社はどうでしょうか?」と聞けば、

「大丈夫です。紹介状を出しましょう」というに決まっているじゃないか。

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