忘年会で威張ってた人

もう5年以上まえに辞めた会社の人たちから、

いまでも年に数回飲み会のお誘いが来る。

いまは同じ業界だけど直接は関係ない人たち。

いつものメンバー、仲のいいもん同士の集まり。

ところがその日に限っては、

なぜか非常に異質なヤツがまぎれ込んでいたのだ・・・。

いままで一度も呼ばれたことのない男がである。

いつものメンバー同士はっきり嫌だと申し合わせていたわけじゃないけど、

なんとなく敬遠して暗黙の了解で呼ばないヤツ。

それがAだった。

うえっ、、なんでアレが来てんの・・・?!

幹事をつとめる若手F君は、そんなぼくの雰囲気にすぐ気づいたらしく

バツの悪そうな顔をする。

小声で「あれ、きょうどうしちゃったの?なんかあったの?」

そんなぼくにF君は「えぇ、あぁ、いやぁ、ははぁ」などとなんとも要領を得ない。

目も合わせようとせず、そそくさと離れた席に陣取ってしまった。

いやはやなんとも、なにやら隠し立てがあるようだ。

乾杯の音頭のあと

「Y沢ぁ?!あいつオレの舎弟だったんだけどさw」

と、離れた席で新人さんを前に大声を出すのはAである。

特徴のひとつとしては、嘘だか本当だか確認しようのない与太話を

先輩後輩上役問わず延々と熱弁をふるうところにある。

30代中盤だろうか、正確な年齢は知らない。

幸いぼくのとなりの席だった桐原氏は紳士である。

氏もぼくと同じ5年前に会社を去っていた。

氏とはそれ以来の再会である。ぼくとは違いスーツ姿で身なりはキチンとしていた。そして、どこがどうとは言えないがなんとなく金持ちオーラが漂っているのだ。

「桐原さん、なんだか、ずいぶん羽振りよさそうですね」

「そうかな、ボチボチってとこでしょうか」真性えびす顔である。

「んで!Y沢がよぉ、あいつさぁWw

さっきから遠いのにうるさいのはAである。

Aは太っていた。

太ってはいたが福々しさや貫禄といったものはみじんもない。

子供っぽいというかガキっぽいので古ぼけた永遠の肥満児といったところか。

顔だちは、どこかこすっからくて貧相な小動物みたいな男なのだ。

なんとなく聞こえてきた話の断片をつなぎ合わせると

Y沢とは、なんと、いまをときめく秒速1億円男のY沢氏なのだ。

Aは中学時代Y沢氏の先輩であり当時から投資の知識を教えてやってた。 とのことである。

Aの近くに座り与太話を聞かされるメンバーは辟易としている。

「それにしても、Aさんは相変わらずですな――。しかし意外だな、まさかね・・・きょう来るとは想像もしてませんでしたよ」

はじめ穏やかだった桐原氏もすこしずつ表情が苦々しく訝し気になってきた。

「ははは、ぼくも想像できなかったですよ・・・」

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