過去と未来に思いを馳せて今日を擦り減らしつづける人

いっしょに働いてるひとの中には、あしたやればいいような作業も

なんとしてでも今日のうちにやってしまおうと、頑張っちゃうひとがいます。

優先度はかなり低いのですが、午後4時をすぎてから、ばたばたしだします。

ぼくなんかは、5時15分の定時であがるために、かたづけに入るところなのに

彼らはそこから、もう一仕事したいようです。

仕事をこころからしたいと思っているのではなくて、

仕事をたくさんしている多忙な自分を見てほしい、というのが本音だろうと思う。

「こんな難しい案件を抱えてるオレ」みたいな。

残業代がほしいわけじゃない。

どうせ残業の申請を上司にしたって、却下されるだけだから。

彼の場合は、他人に認められたいというのとも違う。

金のためじゃなくて、仕事をやりつづけたいと言った。

彼の上司はなにも注意しない。「勝手にタダで残業してご苦労さん」といった顔だった。

彼の時間は止まっている。

1時間だろうが5時間だろうが、彼の感覚では大差はないようだった。

彼は過去に生きていた。学生時代、とりわけ高校生のころの思い出のなかが

おもな活動場所だった。

就職した、いま現在というのは、我慢するときなのだそうだ。

大学受験のときも我慢だったようだが、就職すれば定年まで仕事はつづく。

いつか、やがて、あかるい未来がやってくるまで・・・

いまは辛抱するときなのだそうだ。

いつも、いつでも過去を懐かしんで、そして未来を夢見る・・・

いまという時間をその思いを馳せるために使う。

無為と思える単純作業に没頭しながら、いつまでもいつまでも・・・

高校時代、彼は陸上部のキャプテンだった。

県大会で優勝した経験もある。

彼はいまでもキャプテンなのだ。

思い出のなかで、延々とトラックを走りつづける・・・

同僚たちが帰っていくなか、彼はひとりパソコンに向かい、

一週間後にある会議の資料づくりに余念がない。

だが、上司が突発的に外出したりすると会議はよく中止になる。

彼以外のひとたちが資料をつくるときは前日に体裁を整えただけの

草稿をみんなに配布するだけだ。資料はじっさいのところあまり重要ではなかった。

みんなだいたいわかっていることを確認するために、少人数で話合うのが会議の目的なのだ。

一週間後に中止になるかもしれない会議?の資料をいまから残業してまで

つくる必要性はなさそうだが、彼は一生懸命だった。

必要なときに、必要なものがない、というのは我慢できない性分らしい。

以前、資料を適当につくった彼の先輩が上司に窘められたのを教訓にしている。

彼は過去の失敗に学ぶ。

先輩の適当さを『他山の石』にするということだった。

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