緊張がもたらす効果

ぼくはサックスをプロのプレイヤーに習っているのだが、

その先生曰く、ステージに上がる前は逃げ出したくなるほど

緊張するらしい。

もうこの道何十年のベテランにも関わらずそんな発言を聞いて

意外だなと思った。

もう慣れっこになって、平気で演奏してるとばかり思っていたのだ。

緊張をやわらげるためにお酒を飲んで本番にのぞむプレイヤーもいるみたいだが、

ぼくの先生はそれをやらない。

「酒なんか飲んだら、絶対に間違えるから・・・」

先生も含めたステージの演奏者たちはなんだかニコニコして

とてもリラックスした雰囲気で楽器を奏でているのだが、

本番前は心臓はバクバクなんですね。



でもいざ本番が始まると、スーッと演奏に入っていって、

気持ちよくなるらしいです。

よくマラソン選手がランナーズハイになるって聞くけど

それと同じように、脳内から緊張を和らげる成分が分泌されるんですかね。

ぼくの場合は

小さい店のジャムセッションに参加するくらいが関の山ですが、

それでもやっぱり緊張する。

セッションだけでなく、ふだんの練習のときに、たまに録音することがあるのだが、

その始める前が緊張する。

これは失敗したくない。ということがあるからかもしれない。

失敗を録音してしまうこと、人に失敗を記憶されてしまうこと。

それが嫌なんじゃないかな。そんな潜在意識が緊張に導くのではないか。

太古の昔は失敗が、そのまま死につながるケースもあっただろうから

なるべくそれを避けたいという心理なのかもしれない。

ぼくが参加するジャズのジャムセッションというのは

各メンバーがアドリブでソロを披露するのだが、

出来不出来というのは、それぞれにある。

ものすごく上手い人もいれば、もうどうにもならないほど

下手糞な人もいる。

だがしかし、下手だからといって、観客から人気がないのかというと

そんなことはない。

セッションの観客というのはセッションに参加するために順番待ちしている

プレイヤーがほとんどなのだが、そんな人たちの心を捕らえることが

できるのは素晴らしいことだ。

下手だろうがなんだろうが、緊張感いっぱいで、

アガりまくって一生懸命演奏すると

その熱意が伝わって感動するのか、客席からの掛け声や拍手が盛大だったりする。

逆にいかにもスカシテ余裕綽綽といった表情の

品行方正で習ったことをそのまま演奏しているような人の場合は

どこかしらけた、社交辞令のまばらな拍手しかなかったりするんですね。

だからといって、なにも下手の方がいいわけではない。

やっぱり、あきらかに傍若無人なデタラメだけの場違いな人は

まったく拍手がなくて、空気扱いされた上に

その日は二度と順番が回って来ないものですから。

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