コンビニ店員にフラれた半年後

さっき激安スーパーで、ぼくが好きだった女性を見かけた。

彼女を見るのは約半年ぶりだ。

最後に会った日に思いを打ちあけたのだが

ありえないぐらい手厳しく断られ、

それっきり顔を合わせることはなくなってしまった。

でも久しぶりに見たのだけど、やっぱり彼女はいい女だったな……。

しかし、おそらく一般的な感覚からすれば

彼女は美人ではないし、カワイイというのとも違う。

セクシーなのかと訊かれれば、ぼくはそうだと即答するけど、

世間様からの客観性を考慮すると、とたんに自信がなくなる。

なんというか、ひとことで言うと地味で野暮ったい――

彼女は芸能人に例えることができないようなルックスをしていた。

芸能界には絶対にいないようなタイプ。

ぼくに男でも女でも友達がいたと仮定した場合

居酒屋かなにかで、おおいに酔った勢いで、

「じつはさ、あの子が好きなんだよね」なんて打ち明け話をしようものなら

おそらくは「おいおい、ずいぶん変わった趣味だな」と

返されるような風貌なのだ。

彼女と知り合ったのはコンビニ――

店員の彼女がレジをやってるとこに、ぼくが客として来たわけでした。

彼女に会った瞬間、ぼくはビビビッてやられちゃったわけなんです。

いわゆる一目ぼれというやつですね。

それからは、毎日のように通いました。

そのコンビニは自宅からは二駅ほど離れた場所にあるのですが

会社からの帰りに、わざわざ途中下車・・・

買う必要もないのに、ロッテのキシリトールをレジに持って行って。

そんなガムなんて、それこそ激安スーパーに行けば同じやつが

コンビニの半値で買えるのに。

ばかげているけど毎日ドキドキしたな。

さすがにキシリトールを毎日買っていたら

家は在庫だらけになってしまうので

代わりに弁当をいつからか買うようになりました。

だからもうコンビニ弁当にはうんざりなんです。

彼女は、ほぼ毎日いましたね。

豪雨の中、店に行くと客はぼくの他だれもいないことがあって。

その時に、商品棚の前で品出しをしていた彼女に近づき

「ずいぶん降りますね」

と勇気をふりしぼって声をかけたのが

彼女と会話らしい会話をした最初だったかな。

それまでは、レジに黙ってガムを持っていき

「148円です」

「・・・」無言で100円玉1枚と10円玉5枚を出して

「――2円のお返しです。ありがとうございました」

このパターンばかりだった。

いま思い出すと、無駄な時間だったんじゃないかって。

話しかけてみると彼女はとても気さくでおしゃべりだった。

とにかく、いつもの仏頂面とは違った魅力があったな・・・

それで、ますます好きになったけど

結局は派手に撃沈したんだっけ。

さっきの激安スーパーでは

彼女は客として買い物してたようだけど、

あの辺に住んでるのかな。

ショックだったのは男と一緒だったってこと。

たぶんあの雰囲気から察すると彼氏なんだろう。

向こうに気づかれないように

ぼくは男をマジマジと見てしまったんですが、

どう考えても、ぼくのほうが男前なんじゃないかって思いました。

どうしてこんな運命になってしまったのか

男と女ってわからないものですね。


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