パートさんの求人を出したけど応募者の電話が・・・

おれは弱小な健康食品会社に勤めているのだが、先日パートさんの採用を任された。

求人広告やハローワークなどに求人を出したのだが、

しばらくのあいだ応募はぜんぜんなかった。

求人広告の場合だと『電話連絡の上、履歴書を持参してください』と掲載していた。

ある日の昼下がり、事務所の電話に出てみると、

「・・・あのぉ、、、広告を見て電話したんですけどぉ・・・」と

何やら要領を得ない中年女性からの問い合わせがあった。

「はい、えーと、どういった広告でしょうか?」

代表電話なので商品に関する問い合わせやその他

いろいろな電話がかかってくるのだ。



「パートさんを募集してるかな? と思いまして・・・」

口調やら間の取り方などが、

とても稚拙で、いくぶん異様な印象も受けた。

人と人のコミュニケーションというものは、第一印象があまり良くないと、

その後いくら挽回しようとしてもギクシャクしてしまうものだと思う。

「はい、まだ募集はしておりますよ。面接をご希望ですね・・・こちらから

折り返しお電話いたしますので、ご連絡先をお願いできますか?」

「あのぉ、家に固定電話ないんですけど、それでもいいですか?」

「ええ、大丈夫です。最近はないお宅も多いですし、携帯だけでもかまいませんよ」

「あ・・・あ、そっちで、わかりませんか番号・・・」

「えーと、090〇〇――」

「それです。自分の番号がわかんなくって、えへへへ」

「では、また後ほどこちらから、お電話しますので・・・」

「あの!何時ごろかけてきますか?!」

「まあ、そうですね、30分以内には・・・なにかご予定でもありますか?」

「べつに、予定はという予定はないんですけど、いつかかってくるかわからないと

不安じゃないですか。あはあはあは」

どこか、クレヨンしんちゃんを思わせる声のトーンで、じつに妙な雰囲気なのだ。

文字にすると、失礼な感じだが、話した印象は不思議と悪くないのだ。

氏名、年齢、住所を聞いてから一旦電話を切り、上司に応募者のことを報告する。

「じゃあさ、明日か明後日の10時半に面接しようか。都合がつかないようなら、

あとは、そう・・・来週だな」

おれは、上司の指示を聞いてからトイレに行って用を足した。

そして、さっきの電話でのやり取りを思い出す。

『なんだか変なおばさんだったけど・・・』

自分の席に戻って電話をかける。

「もしもし、面接の件で――あしたの10時半なんですけど」

「えーっ、あしたですか? 無理です。それに10時半なんて起きられません。無理です」

「そうですか……わかりました。では今回は、なしということで、失礼いたしました」

おばさんは何か言いかけたようだが、おれはそのまま静かに電話を切ったのだった。

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