瞬間湯沸かし器と呼ばれる人たち

若いころの短気と違い、中年以降の短気は、ちと種類が異なりたちが悪い。

一度怒りに火がつくと手におえなくなる御仁もいたりする。

彼の場合もそんなところで、若いときの温厚さはどこへやら、

相手の何気ない一言に爆発してしまうこともしばしばだった。

『瞬間湯沸かし器』なんてよくある異名をつけられていたが本人はもちろん知らない。

そんな彼は昔は温厚な文学青年だったらしく、太宰治やら三島由紀夫をよく読んだという

話しをしていた。

誰かが、「最近の作家だと、どんなのを読むんですか?」と訊いたのだが・・・

「あ? 最近の作家・・・誰かいい奴いるの?!

ええっ!いるのか! おい、いるのかって聞いてんだよ!!!!」

質問した人は何も昔の作家ばかり読んでいるのを非難したわけではないのだが、

本人はそう受け取らなかったみたいだ。



このように、直情型の怒りというものは、周りの人たちから敬遠されてしまい

本人は何の得にもならない。

それどころか、誰からもまともに相手にされなくなるリスクしかない。

みなさんの周りにも、突然怒鳴りだす上司や同僚がいるのじゃないですか。

仕事関係だけじゃなくつきあい始めのころは穏やかだった友人が、

このところ他人のちょっとした不注意に声を荒げることが多くなったとか・・・。

生活環境の変化からくるストレスで情緒不安定になってしまったり、

若年性の認知症の疑いもあったりします。

こういうのは、ある種の病人だとして、ぼくの場合はつき合いを最小限に減らします。

しかし何で怒ってしまうのだろう?

この原因を分析することってあまりないんじゃないでしょうか。

自分の財産を取られたとか、自分の劣等感に触れられたとか、

何かあるはずです。財産といっても、ちょっとした持ち物もふくみます。

たとえばハンカチを雑巾代わりに使われたら誰だって怒ると思います。

劣等感なら見た目とか学歴とかあるでしょう。

何で自分がそのことに反応するのか、昔は気にならないことだったけど

最近はやけに気になるようになったとか。

容姿の衰えを気にするあまり若い女性の肌の美しさに嫉妬の炎がメラメラと・・・

それが、まわりくどくかたちを変えてある種の攻撃になっていないか?

あるいは、なぜ一流大学を出た後輩につらく当たるのだろうか?

取り立てて、その後輩は大きなヘマをやらかしたわけでもないのに・・・

どうして、こんなにも自分のなかに怒りが込みあげてくるのだろうか?

自分を一歩引いて見てみると、自分が100パーセント正しくて

相手が100パーセント悪いとは言えない状況が見えてきたりするんですよね。

相手には相手の論理があるのだから、一方的に怒鳴って責めることはできないと

理解できてくることもありそうです。

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