借金は借金を呼ぶ

ぼくは昔、おこずかいを

すぐに使い果たしてしまう貯金のできない子供でした。

まわりの同級生も同じようなものでした。

でもみんな大人になれば、しっかりと貯金ができるようになる。

そんなふうに楽観的にも考えていました。

しかしそれが、とんだ勘違いであることがわかったのです。

まあ、ぼくのことはさておき

ある知り合いの女性は四十代ですが、生まれてこのかた、

貯金というものを一切したことがないと言います。

いつも、「お金がないの」が口癖。

給料の手取り17万円が入っても家賃5万5000円、電気、ガス、水道、が計1万円

携帯とインターネットが計1万円、食費に5万円……。

あとは、洋服やら美容関係でいつの間にかお金はなくなり、

足りない分はクレジットカードで補填するようになるとのことです。

生命保険会社に派遣社員として働いていて、独身。

いままで一度も結婚したことはないそうですが、女として

魅力がないわけではありません。

彼女は「もう、働きたくない」と事あるごとに言います。

自由気ままに世界中を旅行して暮らしたいと言います。

それには、お金がたくさん必要に思えるけど、

彼女はお金を貯めることもしないし、

いま以上にお金を稼ぐ方法を模索しているわけでもないのです。

投資セミナーに参加するという話を以前聞いたような気がしたけど

どうだったの?

「あれね、結局は行ってないの、だってすごくお金がかかるでしょ。

タダなら試しに行ってみるんだけど・・・」

子供の頃のぼくのように、

いまの生活をなんとなくやり過ごしている人は、

おそらく願望を達成することはできません。

彼女には意外にも地味な趣味というか、毎日の習慣がありました。

折り紙です。

ただ、他の人と変わった点が一つあって

裏面の白い部分に日頃の不満やその日にあった嫌な出来事

ダークな呪いや分不相応としか思えない願望などを書き込む。

それから紙ヒコーキを折って

会社の最上階の非常階段から飛ばしたりするそうです。

そのとき必ず口ずさむのは

AKB48の『365日の紙飛行機』だという話しでしたが・・・

そうすることでカタルシスを感じるのだとか。

あとは、恨みつらみを書いた千羽鶴を折って被災地に

送り付けるなど二重に迷惑な行動も

意地の悪そうな笑顔を浮かべて話してくれました。

なんだか、薄気味悪い嫌なヤツ、

思い出すだけで彼女の心の闇が迫ってきそうです――。

ある休日

小雪のちらつく中、都心へ向かう快速電車は一分の遅れもなく

ホームに滑り込んで来た。

暖房はよく効いており暑いくらい、

車内はガラガラで長い座席シートは一人占めできました。

これから彼女は、新しくつきあい始めた年下の彼氏に逢いに行くところ。

「やっぱり、男は若いのがいいわ」

事実、彼女の世代だと御亭主の中にはお爺ちゃんと呼んでもいい

年齢の方もいらっしゃいますからね。

「新しいコートに、新しいブーツ、新しいバッグ、スマホだって最新型だし。

たしかに、お金は貯まらないけど、欲しい物も買わないで生きていたって

意味ないと思うのよね」

そう考えながら、LINEをチェック。

彼氏からはとくにメッセージはなかったのですが、

見知らぬ相手から忠告文が届きました。

突然ですが、

これから、あなたが逢いに行く男とは

今日のところで手を引いておいたほうがいいでしょう。

男には、あなたの他に女がいる。

それも一人だけではない。

それと、男は羽振りがよさそうに振舞っているが、

ほとんど借金で賄っている。

信じるか、信じないかは、あなた次第です。

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