失業保険の認定日

指定された時間は9:40~10:10である。

おれが9:50にハローワークに行くと、すでに待合の椅子はうまり

満員御礼であった。

世の中、これほど多くの受給者がいるのかと思うほどの数である。

指示された箱に『雇用保険受給資格者証』と『失業認定申告書』を入れて待つ。

順番が回ってくると自分の名前をフルネームで呼ばれるのだが、

これは、気にする人は気にするんじゃないかと思われる。

「山田太郎さ~ん 山田太郎さ~ん」と、大きな声で職員に呼ばれるのだ。

「あ、あのオッサン、山田っていうのか」と周りの人たちにバレバレなのだ。

山田太郎(推定52歳)無職―― こんな風に思われてんのかな。

なんだかなあ。



番号札と引き換えにして、番号で呼んだほうがいいような気もするが、

やっぱりそこはお役所仕事なのかな? と思ったりしたが、

市役所なんかで住民票をもらうときは番号で呼ばれるからな。

まあ、どうなんでしょう。

そういえば、

みんな雇用保険をもらっているからといって、風体は必ずしも裏ぶれているわけではない。

街に出れば死にそうな顔をしたサラリーマンがうようよしているが、

そんな人たちよりもずっと生き生きした表情の人が多い。

待つこと約20分――とうとう、おれの名前が呼ばれた。

職員が「今回はこの金額です」

受給資格者証に印字された数字を指し示し

「一週間以内に振り込まれますので」とつけ加えた。

おれは、「ありがとうございます」と頭をさげて、その場を辞去しようとした時、

椅子に座っていた、推定年齢58歳の女性と目が合った。

度の強いメガネをかけて仏頂面をしていたが、

この人にも、おれの名前と顔を知れてしまったなと考えたら

なんだか損した気分になった。

総合受付に行って、検索を申し込む。

申し込むと言っても、ラミネートされたA4サイズの番号札をもらうだけだが。

検索ではハローワーク内にある専用パソコンで

求人票を閲覧することができる。

これは全国のハローワークの求人が見れるのである。

おれも一応は見てみたがあまり目につく物件はなかった。

比較的まともなものを数件ほどプリントアウトして、もう一度

総合受付に行く。

A4サイズの番号札を返しながら、「職業相談をお願いします」と言うと

職員はレシートサイズの番号札を渡しながら

「番号が呼ばれるまで、そちらにお掛けになってお待ちください」

と近くの椅子を勧めてきた。

座ること5分で、おれの番号を呼ばれた。

(これは番号で呼ぶんですよ)

相談員は年配の男性である。

推定年齢は60歳を超えている感じだが。

席に着いて、さっそく先ほどプリントアウトした求人票を見せながら

「この求人の応募状況を知りたいのですが」と告げる。

年配の男性は、求人票のバーコードをリーダーで読み取り、

パソコンの画面を食い入るように見つめた……

「ほうほう、こりゃ凄い人気ですな。

応募してる方が23名・・・まだ、決まってないよう・・・です」とつぶやきながら、

求人票に鉛筆で『23ー0ー0』と書いた。

「応募されてる方は全員男性で、下が20代30代・・・上が50代60代70代80代まで。

ずいぶんと幅広い年齢層ですね……」

「80代って・・・」

「ええ・・・まあ、お元気なんでしょうね」

「そうですか、わかりました・・・じゃあ、きょうのところは」

と、おれが言葉をにごすと、年配の職員は受給資格者証に、

きょうの日付の入った『職業相談』というハンコを押してくれたのだった。

これで求職活動を一回したことになるんですよ。

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